かたちとコンテクスト−引用による都市連鎖的ノート

ここでは巷に溢れる名キーワードの、とりわけ都市連鎖的読み方を紹介する。特に事物が成立する上での基本概念「かたちとコンテクスト(キーワード3)」は今回の主人公であり、論理の導き役である。これらの引用を活用した上で、後に都市連鎖を《詠む》にあたっての、さらなる拡張キーワードを提案してみたい。

●キーワード7 都市の建築≠都市と建築
建築家、故アルド・ロッシが主著に与えたタイトル(L'architettula de la citta)。なぜ「都市と建築」ではなく「都市の建築」なのか。
彼の言う都市とは、建築を収納する別スケールの構築物として計画された都市ではない。それは建築を形成するソースとしての環境(=コンテクスト)そのものである。彼が「都市の建築」としたのは、個別性の徴としての建築(=かたち)が、その資源としての都市との相互的、時には対立的連関性を保ちつつ不可分に成立していることを主張したいがためであった。彼が、都市が個別の建築を時とともに呑み込んでしまい、その機能を消滅させてしまう去勢のイメージに取り憑かれているのは、そのためである。ソースとしての都市は、個別性を解体し、それを無尽蔵のバンクへと幽閉してしまう。彼は、そこから再び建築を救済し、再定義しなければならなかった。彼はその解答として、転用されても以前存在してしまう、その事物に込められた「出来事とその出来事を示すしるし」−いわばモニュメント−的要素の存在を主張した。

中谷)


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