かたちとコンテクスト−引用による都市連鎖的ノート

ここでは巷に溢れる名キーワードの、とりわけ都市連鎖的読み方を紹介する。特に事物が成立する上での基本概念「かたちとコンテクスト(キーワード3)」は今回の主人公であり、論理の導き役である。これらの引用を活用した上で、後に都市連鎖を《詠む》にあたっての、さらなる拡張キーワードを提案してみたい。

●キーワード5 資材性
事物の潜在的有用性のこと。レウ゛ィ・ストロースが、そのブリコラージュ論(「具体の科学」『野生の思考』)において、その事物の特殊な状態を表現するために用いた言葉。コーリン・ロウも『コラージュ・シティ』において、一回だけその要(「かなめ」ルビしてください)に登場させている。
ブリコラージュとは「未開人」がありあわせの道具材料を用いて自分の手でモノをつくることである。通常の科学的製造概念とそれが決定的に異なるところは、科学者が理論と仮説(=構造)から出発するのに対して、器用人は既に作られた事物から出発して構造をつくりだすことである(事物の優位性)。それゆえ事物における潜在的有用性は、事物に本来的に内在している性能と見るべきでなく、事物が初期設定以外の複数のコンテクストとの連関(=構造)を持ちうる未知の可能性をもちえているという意味である(=可能な変形の一覧表)。

(中谷)


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