大阪市立大学工学部建築学科 2006年度 三回生設計課題
関西国際芸術家村
関西国際空港経由限定ー



「汽車に追われるトリ子」(出典=佐藤忠男『今村昌平の世界』(学陽書房 1980))

□提案者 中谷礼仁 
松本正(キアラパートナーズ アンド アソシエイツ 代表)
□課題内容 大阪郊外に残る伝統的古民家へ芸術作家を呼び寄せ半年の滞在と制作に明け暮れてもらうこと。そして彼の作品の収蔵、時限付きの公開を目的とした施設を提案しなさい。下記の中から作家を一人選び、その作家の場合における、作品と施設の運営方法を提案しなさい。それに従って彼の生活空間と作業場所、ならびに作品の収蔵庫を設計し、同時に作品の時限付きの公開方法も提案しなさい。また作家によっては街づくりまで関与する場合があるので考慮すること。

1[ブォナローティ・ミケランジェロ]
(Michelangelo Buonarroti―)イタリア‐ルネサンスの芸術家。彫刻・絵画・建築の諸分野に優れ、ルネサンスの総合的天才の典型。彫刻では「ダビデ」を、絵画ではシスティナ礼拝堂の天井画および「最後の審判」などの大作を残した。さらに建築家としてサン‐ピエトロ大聖堂の設計などにあたったほか、多くの詩作も残した。
(一四七五〜一五六四) →(一九七五〜)
2[ポール・セザンヌ]
フランスの画家。初め印象派に加わったが、後、印象派を超えて自然の対象を幾何学的形態に還元し、調和的な色彩による構築的な画面を表現。作品「赤いチョッキの少年」「リンゴとオレンジ」「水浴」など。
(一八三九〜一九〇六) →(一九三九〜)
3[今村昌平]
映画監督。東京生まれ。早稲田(わせだ)大学文学部西洋史学科卒業。1951年(昭和26)に松竹の助監督となる。54年に日活に移籍、川島雄三監督のチーフ助監督となり、監督第一作『盗まれた欲情』(1958)をつくる。以来、図太い人間凝視のリアリズムとバイタリティーたっぷりの戯画精神をもって、『果しなき欲望』(1958)、『豚と軍艦』(1961)、『にっぽん昆虫記』(1963)、『赤い殺意』(1964)、『人類学入門』(1966)などを発表、日本人の原像探求の映画作りを果敢に推し進める。一時期、『人間蒸発』(1967)、『にっぽん戦後史・マダムおんぼろの生活』(1970)などの記録映画的作品作りに突出していったが、『復讐(ふくしゅう)するは我にあり』(1979)、『ええじゃないか』(1981)でふたたびドラマ映画に回帰、創作活動を続けている。83年の『楢山節(ならやまぶし)考』と97年(平成9)の『うなぎ』でカンヌ映画祭のグランプリを受賞。
(一九二六〜 )

□対象敷地 対象敷地は、泉佐野市土丸地区にある重要文化財民家『旧向井家住宅』とその周辺地域である。この古民家を作家の主たる住居として設計し、周辺敷地[A]にアトリエと収蔵庫ならびに付帯施設(プログラムによって提案)を設計すること。
対象敷地周辺地図
□施設の運営 施設の運営は、集落の住民達の手によって行われることとする。住民達は作家の意 向に応対しながら、施設を運営しなければならない。作家とその作品は集落にとって貴重な財産だからである。
□作品の公開方法 財産である作品を収蔵している収蔵庫を年に一度、ある期間にだけ公開すること。その期間、収蔵庫は美術館となる。
更に美術館に訪れる鑑賞者を集落にとっての外部者(外国人)として設定する。その際、進入経路を関西国際空港に限定することとする。つまり空港に降り立った鑑賞者を出迎え、集落内に設定した作品の公開場所へと誘導し、その経路に応じたテーマ、作品、公開方法の提案が要求される。
航空写真(関西空港を含む)
□提出日時 2006年7月6日(木)16時
□講評会 2006年7月10日(月)
□提出物

複数のA2ケント紙の屏風とじ、表紙、裏表紙をつける。
・ 問題点の提示とその解決のための施設の建設方法、運営方法:空間的・機能的特色の提案図、イラスト、軸組図、ダイアグラムなどを積極的に用いること。文字だけでは理解できない。
・模型 1/200(内部の様子、外部周辺まで作成すること)
・周辺敷地図:1/500または1/1000程度
・敷地図ならびに平面図(配置平面図):1/200
・各階平面図:1/100(境界線は必ず明示すること)
・立面図:1/200、4面以上
・展開図ふくむ断面図:1/200、2面以上
・ 外観あるいは内観パース(写真不可)
以上、スケールに合わせて可変は可とする。

□日程

2006年6月1日(木)  レクチャー+エスキース(松本先生出席)
2006年6月8日(木)  エスキース(選定人物についての研究とプログラムを発表する)
2006年6月15日(木) 中間講評会(松本先生出席)
2006年6月22日(木) エスキース
2006年7月6日(木)  提出日(16時 三回生製図室にて 時間厳守!!)
2006年7月10日(月) 講評会(松本先生出席)