私は、卒論を寺社の配置について書こうと思っているので、今回の鈴木了二さんの建
物について、主に配置について書いてみようと思う。
この金毘羅山は配置でいうともともと線状→旭社→円環(並列)で構成されている。
円環は、旭社→賢木門→本宮→三穂津姫社→絵馬殿→参集所→厳島神社→旭社 とい
う反時計回りの配置になっており、本宮と三穂津姫社、絵馬殿、参集所は並列配置に
なっている。(http://www.konpira.or.jp/about/map/kotohiramap.html参照)
今回鈴木了二さんが建てた斎館棟は参集所の建て替えである。参集所とは大正時代に
建てられた建物で、並列配置の一部にはなっているが、円環配列としては少しはみだ
した場所に建てられている。
まず初めに鈴木了二さんの建築をみて思ったことは並列配置を深く意識しているとい
うことだ。本宮・三穂津姫社などの建物の軸を、新しく建てた斎館棟にも基本軸とし
て多用しており、階段・擁壁・内部空間にまで軸を取り入れ、すっきりとまとめ上げ
ている。この軸と、もう一つの斜めの軸がおりあうところでは、やはり並列軸が強い
のか、写真のようにキャンチとして大きく張り出している。
しかし、私が一番すごいなと思ったことは、円環配列のおさめ方だ。一見破綻してい
るように見える中庭が、実は二重円環を成立させる大きな要因となっている。以前の
円環配列の動線を庭の円と絵馬殿へつながる階段で表しており、それを分断するよう
に木が植えられている。それは以前の円環配置の動線を残しつつも分断することに
よって、新しい動線である大階段を通り、下の旭社へ続く第三の道に自然とうながし
ているのだ。
鈴木了二さんは参集所によって不完全になってしまった円環配列を、並列配列を残し
つつ、みごとに新しい二重円環配列として、斎館棟と共に生き返らせたのだ。